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July 26, 2005

よしもとばなな 「海のふた」

 装画として使われている版画家・名嘉睦稔さんの版画が印象的な作品。
 この作品でも、主人公はとてもいい人で、周りの人もとってもいい人で、それぞれが感受性豊かで。作者らしさあふれる小説だ。正直言うと、人物設定にはあまり魅力を感じない。登場人物はとにかく作者の言いたいことを言わせられており、小説風エッセイという感じがする。一度そう思ってしまってからどうも感情移入がいまいちできないまま読み終えてしまった。
 きれいであったかいお話が好きな方に最適な一冊。自分は毒入りな小説のほうが好きなんだなぁ・・と実感させられた。

海のふた

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July 23, 2005

重松清 「カカシの夏休み」

 「カカシの夏休み」
 「ライオン先生」
 「未来」の3編を収録。

 ダムの底に沈んだ故郷をもつ同級生たちの再会のきっかけは、旧友の死だった。
 社会事象をとらえ、リアルな現代社会を描くのがうまい作家。作品の中で作家と同年代の人間の直面する問題は、リアルすぎてため息が出そうになる。
 けれどもだからといって重過ぎるわけではない。世代の共感のためにだろうか、未読の作品を見つけると手にとって読みたくなる。

カカシの夏休み

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伊坂幸太郎 「重力ピエロ」

 連続放火事件。
 遺伝子にネアンデルタール人にガンジー、etc。
 雑学がちりばめられたミステリだ。
 けれども、犯人の予測は容易。おそらく作者は、謎解きよりも登場人物を丁寧に描くことを重要視しているのだろう。それは成功していて、読み進むにつれ登場人物たちに自然と愛着がわいてくる。

重力ピエロ

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July 11, 2005

魚住直子 「超・ハーモニー」

 有名中学に合格はしたものの、落ちこぼれぎみの少年響(ひびき)。
 子どもと向き合おうとしない親や、数年ぶりに帰ってきた兄の変化に対する驚き。
 いろいろなものが混ざり合って精神的に追い詰められていくさまが、リアルにかつ読みやすく描かれている。中学生に読んでもらいたい一冊。

超・ハーモニー

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山本文緒 「チェリーブラッサム」

 コバルト文庫から刊行された「ラブリーをつかまえろ」を改題、加筆訂正したもの、ということだ。
 なので、はっきりしっかり少女小説、である。作者のこのジャンル以外の作品は全て読んでいて、ファンなんだけれども、それらの作品とははっきり区別して読んだほうがよいだろう。

 登場人物の女の子、男の子、ついでにお父さんも明るいなー。うーん、まさに少女小説。

チェリーブラッサム

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瀬尾まいこ 「卵の緒」

 「卵の緒」
 「7's blood」の2作を収録。

 自分を捨て子だと思っている少年育生を中心に、母、母の恋人、育生の友達などを描いたまったりとした物語。
 実際にがしゃがしゃとした子どもとの生活の中にいるわたしは、育生と母の大人びたユーモラスな会話に、フィクションらしさをひしひしと感じた。が、終始温かい視点で描かれる物語には好感が持てる。
 後半、育生の出生に関する疑問が解けることになる。果たして、真実は?

 2作目は、高校生七子と小学生七生の異母姉弟が、ひょんなことから同居することになるところから物語は始まる。こちらの少年も、わけあって随分と大人びている。このふたりの関係が、なんとも切ない。

卵の緒

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July 08, 2005

ライナー・チムニク 「クレーン男」

 なにクレーン男って?とタイトルにひかれて手に取った一冊。
 この本のよさはなんといっても紙質だと思う。紙の名前は詳しくないので分からないのだが、ちゃんと名前があるのだろう。茶色いヤツ。
 ペン画というのだろうか、挿絵も作者自身による。
 狭くて高いクレーン舎の上。主人公は変化してゆく周囲の様子を見つめつづける。
 大人の童話という印象。

クレーン男

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July 07, 2005

白石一文 「僕のなかの壊れていない部分」

 主人公はエリートサラリーマンであり社会的にはちゃんとした人。なんだけれども、内面的には壊れているといっていいのだろうか。感情の破片が統合できずもがいているような印象を受ける。3人の女性と関係をもちつづけている。
 この人が生や死を含め、三島由紀夫やトルストイの作品の引用も取り入れながら、哲学的にとにかくいろいろ考えている。簡単にいうとそういう話。(でいいのかな?)

 本の内容と関係ないのだが、作中によく知っている場所が何箇所か出てきた。本を読んでいると時々そういうことがありませんか?え、何で知ってるのこんな所を、と親近感を覚えた。

僕のなかの壊れていない部分

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