November 30, 2004

川上弘美 「ニシノユキヒコの恋と冒険」

 「ニシノユキヒコ」について、彼と付き合った女の子の視点から描かれている連作短篇集。
 清潔感があって、会話では万人向けの受け答えができ、適度にかっこよく、おそらくモテるタイプである。彼女たちの視点からはそんな人物像ができあがる。けれども彼は本質的な部分が原因で、決してのぼせあがったりお気楽に幸せそうだったりはしないのだ。

 さまざまなタイプの女の子による、さまざまな年代の彼についての語りを読むうちに、自然とニシノに親近感がわいてきた。ひとりの男のニンゲンとして、ちょいと美しく描かれすぎなんじゃないかいとは思うけれど、そこがまた良さでもある。
 川上弘美さんらしい、ゆったりした作品。けれども妙なものが急に出てくる幻想系ではなく、恋愛小説だ。

ニシノユキヒコの恋と冒険
川上弘美著

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