March 14, 2005

辻仁成 「代筆屋」

 手紙の代筆の仕事をしている小説家の話である。
 主人公は、様々な事情を抱えた依頼主の話をじっくりと聞いた上で、細心の注意をはらって文章を書く。
 その「手紙」を軸にした、あるいは全編が手紙文である短編が10作。
 人生をぎゅっと凝縮したような作品である。
 かつて心をこめて手紙を書いたことがあったということ、また、受け取ったことを思い出した。

代筆屋
辻仁成著

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November 17, 2004

辻 仁成 「刀」

 タイトルでもある「刀」が、作品の中に文字通り筋を通して存在している。また、小説の中には、主人公である作家が書いた小説が出てくる。(劇中劇じゃなくってこういうのはなんていうんでしょう?)それが本筋の流れに重なる層となり、深みを出している。フィクションを織り込んだ、自伝的小説。久しぶりに純文学らしい作品を読んだのでうれしい。

 思い起こせば初めて知ったとき、辻さんはバンドで歌を歌ってる人、だった。DJもやっていて、番組を聞いていて小説を書いていることを知りすごいなーと思ったのを覚えている。
 ところでこの作品は自伝的小説なので、名前は変えてあっても奥さんを描写する場面では必然的に南果歩さん・中山美穂さんの姿が目に浮かんでしまう。
 3度目の結婚相手、ナナとの場面は特に繊細に描かれていると感じた。(私の興味が深かったせいかも)恋愛の甘さ、激しさは省かれ、押し切るように主人公の中で存在を大きくしていくさまは、恋というより勝負を挑んでいるかのような印象だ。


辻仁成著

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