July 26, 2005

よしもとばなな 「海のふた」

 装画として使われている版画家・名嘉睦稔さんの版画が印象的な作品。
 この作品でも、主人公はとてもいい人で、周りの人もとってもいい人で、それぞれが感受性豊かで。作者らしさあふれる小説だ。正直言うと、人物設定にはあまり魅力を感じない。登場人物はとにかく作者の言いたいことを言わせられており、小説風エッセイという感じがする。一度そう思ってしまってからどうも感情移入がいまいちできないまま読み終えてしまった。
 きれいであったかいお話が好きな方に最適な一冊。自分は毒入りな小説のほうが好きなんだなぁ・・と実感させられた。

海のふた

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June 13, 2005

よしもとばなな 「デッドエンドの思い出」

 「幽霊の家」
 「おかあさーん!」
 「あったかくなんかない」
 「ともちゃんの幸せ」
 「デッドエンドの思い出」の5作を収録。

 よしもとばななさんの文章は、変にげーじゅつてきな文学的表現を使っていないので読みやすいところが好きだ。主人公の五感に感じ取ったものとして書かれる詩的表現は、ストレートで分かりやすい。

 死を含む喪失を受け入れる過程、またはその経験を語るというかたちのこの本は、作者らしい作品のひとつといえるだろう。あたりまえすぎて見失いがちな生活の中にあふれている幸せ、周りにいる人たちの何気ないやさしさ、こころの清らかさ。主人公はそういったものにあらためて気付いていく。
 性格がひねくれているわたしは読みながら結構おなかがいっぱいになっていたけれども、普通の人には、気付きをうながすよい作品だと思う。

デッドエンドの思い出

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